写しと贋作とレプリカの差 1.レプリカ

刀剣乱舞1周年の山姥切国広のセリフ、皆様ご覧になったでしょうか。
「いい加減、写しとは何かということは広まっただろうか」というあのフレーズ、私は「この1年、写し啓蒙活動しとったんかーい!」と全力でツッコミを入れました。
ちなみに私は「初期刀に堀川派!山姥切国広だと!?マジかー!!!」で、ゲームを始めた「自他共に認めるまんばモンペ」ですので、色々察していただけるとありがたいです。元々堀川一門の刀が好きだからしょうがないですよね(開き直り)。

で、実際どうなんでしょう?写しとは…ってのは審神者の皆様には広まったんでしょうか。
そう思ってたら友人(サービス同時スタート審神者)が「写しと贋作とレプリカの差が分からん」と言いだしまして。全然あかんやん!広まってへんやん!(泣)

そんなわけで、今回は「写しと贋作とレプリカの差」について…と思ったんですが、書いてるうちに長くなることに気付いたので数回に分けさせていただきます。

まず1回目は「写し+贋作 と レプリカ」です。これはとても簡単。

写しと贋作とレプリカ 1

はい、日本刀であるかそうでないか。
「日本刀」の定義は1945年の敗戦からGHQの接収(歴史苦手な人は 日本刀を楽しむのに最低限必要な日本史 を参照してください)を経て、用途を限定して日本刀の所持が認められる際に決められています。以下、『日本刀の教科書』(東京堂出版)からの引用です。

日本刀とは、武用又は観賞用のために日本刀製作方法に則り製作されたもので、素材の一部に玉鋼を使用し鍛錬し、焼き入れを施したものを言い、たち、刀、わきざし、短刀、やり、剣、なぎなた、ほこを含みます。

この「日本刀製作方法」は1945年時点で伝統的とされた方法です。新刀と古刀では作り方が違うんでないかとか、その辺の細かいことは全部まとめて「日本刀製作方法」にひっくるめてしまいます。
要するに「和鉄(玉鋼を使った鉄)を叩いて伸ばして焼きを入れた物=日本刀」という理屈です。
この方法で作られていない物、例えばステンレスで作った物(昭和の軍刀などがあります)は日本刀の形をしていても、現在のルールでは「日本刀」として認められません。

レプリカは材質が洋鉄(西洋の製鉄方法で作られた鉄)、ステンレス、ジュラルミン、木・竹、etc…何であれ、伝統的な方法によって作られていないので、日本刀ではない扱いになります。

では、日本刀でないならなんでレプリカがあるのか?
レプリカにはレプリカの用途があるからです。

資料としてのレプリカ。
過去に存在した刀剣を外装まで含めて復元した物を博物館で展示すれば、来場者に間近で細部を見てもらうことができます。本物より精巧なレプリカの方が取り扱いのハードルが低く、メンテも楽です。
日本刀鑑賞講座で取り扱いの講習に使う練習刀もここに含めて良いかもしれません。

祭礼やパレードで使うレプリカ。
大規模な祭礼では様々な供奉の人が行列に参加します。日本三大祭の一つ・天神祭の陸渡御の写真を見るといろんな人がいろんな物を持っています。短刀、太刀、槍。全部本物だったら警備も大変ですよね。ちなみに天神祭の丑日講の人が持っている「御太刀」は伊勢神宮から拝領した本物だそうです。

映画やドラマ、写真などの撮影に使用するレプリカ。
アクションシーン・殺陣で使用されるのは竹光と呼ばれる竹や木を削った物にアルミ箔などを貼ったものです。間違って役者さんの体に当たってしまっても、竹光の方が折れます。当然痛いと思いますけどざっくり切れてしまうよりは良いですよね。
アップのシーンを撮る場合は金属製の模擬刀が使用されます。太秦映画村の刀剣所作講座では本番で竹光を使い、講習後の体験タイムで模擬刀を持たせていただきました。

と、こんな風にさまざまな用途があります。調べればもっと他の用途もありそうですね。

最近はグッズショップでもコスプレ撮影用に金属製の模擬刀が販売されているようですが、いくらレプリカとは言っても素材が素材だけに、他の人に怪我をさせないように周囲の人の動きに注意しつつ撮影しないと危険です。
また、現場へ向かうまでには余計なトラブルを避けるために、ちゃんとケースに入れて持ち運ぶようにしたいものです。

レプリカを扱うので大事なのは、想定された用途で使ってあげることではないでしょうか。

次は「写しと贋作とレプリカの差 2.贋作」です。

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