異種コラボも面白い・二次元VS日本刀展

現代刀工の作品展の面白さ の続きのような記事になるのですが、「二次元VS日本刀展」という展覧会をご存知でしょうか?
劇場公開とも併せて話題になった「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」の展開バージョンのような作品展で、それまでの日本刀ファンとは全く違う若い人への浸透を目的として開催された展示です。

二次元VS日本刀展チラシ 二次元VS日本刀展

私は2014年の大阪歴史博物館での開催時に拝見したのですが、これがまぁ面白い作品揃いで。
漫画家やイラストレーターの方がデザインした日本刀を現代刀工と拵の職人で実際に作ってしまい、それが展示されていたんですね。展示は撮影OKだったので、「二次元VS日本刀展」で画像検索すると作品の画像を見ることができます。
もう厨二心がくすぐられる作品ばかりで、わたくし正直「ここまでやって良いのか…!」とびっくりしました。

会期中に開催されたフォーラムに参加した時の話を少し。
このフォーラム(2014年11月)はゲームでの日本刀ブームが起きる3か月ほど前でして、「日本刀の生き残りをかけて」というすごいタイトルがついております。今から考えたらすごいタイミングなんですけど。

フォーラムレジュメ

このフォーラムでは、「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」のフランスやスペインでの巡回展の報告やコラボ企画の今後についての話を聞くことができました。
その時の感想を私の個人ブログに書いてあったので、それをそのまま引用します。もう一度同じこと書くのが面倒くさいとも言う。

全日本刀匠会の事業部というところで広報とか製作環境の取組みとか異業種とのコラボ企画に携わっている坪内さんの発表で「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」をやる経緯を説明するくだりがありました。その中で「刀匠は伝統でがちがちに決められた中で模倣するのが基本だから、これまでにないものを創作するという意識がそれまでなかった」という話が出てきて「え!?そーなん?」と。
もちろん、結論としては「昔の刀匠達もさまざまな工夫や創作を行って、それが結果伝統として残っている訳だから、コラボを通して現代なりの工夫や創作をして行きたい」という話になるんですが、私のアタマの中で、どんなジャンルでもものづくりの人は常に継承と同時に創作を行っているものだと言う思い込みがあったので、そうなんだー!と驚いたわけです。

(中略)

異業種コラボそのものについても、「年齢層高めの日本刀ファンに若い人を増やしたいんだろうなー(主にオタク界隈から)」とちょっと斜めから見ているところがありました。実際それはそうなんですが、意外な効能?もあるそうです。
今巡回展をやっている「戦国無双の刀剣展」のために作られた真田幸村の槍。十字になってるあの形は長らく作る機会がなくて技術伝承がとても難しくなっていたところ、この展覧会のために作る機会ができたので実地で作り方を伝えることができたとのこと。
昔のように大名家とか将軍家とかがお抱えでぽぽぽーんとお金を出してくれて作る!みたいなことはないので、一般の人から広くお金を集める企画でいろんなものの作り方を伝えて行くのは大変だと思います。

この後、年が明けて刀剣乱舞のゲームがスタートして現在の日本刀ブームが始まるわけですが、このブームの前にすでに日本刀界隈には「何か新しい動きを」という意識があり、いろいろな方がそれに向けて動いていたわけです。

なので、数年後にゲームによるブームが収束したとしても、日本刀界隈の新しいファン層開拓に向けた取り組みというのは着実に続けられて行きますし、ゲームで興味を持った方にはそうした取り組みがある以上、あまり気負わずに新世代の愛刀家のスタイルを作って行けば良いんじゃないかと思います。

↓こちらのアカウントで今後もコラボ企画については情報発信されて行くようですので、ぜひチェックしてみてください。

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