刀剣鑑賞作法のポイント 5.刃文を見るとき

以前ご紹介した、「刀剣鑑賞作法 〜初めて触れる日本刀〜」冊子の中で、文章だけではちょっと分かりにくいポイントを少しずつ解説します。

最後の5回目は9Pに書かれている「刃文をみる」のポイントです。

重い御刀はネルで支えて、前方の白熱球の光源に刀をすかすようにして刃文を観察します。
強い光が当たっている前後に刃文が光って見えると思います。

刃文が見える絶景ポイントを探そう でも書いたのですが、刀の表面にある模様を刃文だと思ってることが多々あります。
研ぎで刀身に描かれた模様、これを刃取りと言いますが、これは刃文ではないです。刃取りは研ぎ師の方が仕上げるもので、刃文とは違う顔つきになっていることもあります。

実際、私が拝見した刀でいうと、孫六兼元のある刀は刃文は三本杉の尖り互の目、刃取りは緩やかなカーブを描くのたれでした。普通にぽんと置いてある状態ではのたれしか見えません。光に透かして初めて尖り互の目が見える刀です。

刃文を見る時は、こんな風にライトの光を反射させ、その反射で浮かび上がる模様を見るイメージです。

刃文を見るとき1

 

刃文はこんな感じで刃取りの中に浮かび上がるようにして見えます。
実際は青く見えるわけではないのですが、分かりやすいように色をつけました。

刃文を見るとき2

この図では、直刃の中に小乱れが見えています。そのまま見ると、直刃しか見えません。

刃文を見るのは、刃取りと刃文が明らかに違う刀を実際に見て、これが刃文か!という体験をするのが一番近道なように思います。一度そうやって「刃文とはコレだ」という体験をすると、展示でも鑑賞でも刃文をきちんと見られるようになるように思います。

初心者向けの鑑賞会を企画される方には、ぜひそのあたりの違いが明らかに分かる刀をご用意いただけると、受講者の「見えた!」という感動も大きく、楽しい体験になるのではないでしょうか。

今回で一通り、分かりにくいポイントは網羅できたかと思います。
ですが、「いやココ分からんねん」という箇所がありましたら、Twitterなどでお知らせください。私でわからなければ先達の方に聞いて補足しますので…。

それでは楽しい刀剣鑑賞ライフを。

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