刀の見方 かたち編その8 室町時代後期の打刀
この記事は 刀の見方 かたち編 はじめに から続く記事です。
刀の見方 かたち編「室町時代前期の太刀」の次は「室町時代後期の打刀」です。
ここからは太刀に変わって打刀が主役の時代になります。
刀の時代区分では室町時代後期と言いますが、日本史で習う区分では、ほぼ戦国時代のことだと思って間違いないと思います。
応仁の乱以降、戦争の主役は騎馬の武者から歩兵集団に移ります。そのため、腰から金具などで吊るす太刀ではなくて、帯に差して片手ですぐに抜いて使える打刀スタイルの方が一般になります。吊るすより差すほうが走りやすいし必要な部品も少なくて済みます。
太刀は刃を下に向けて吊るし、打刀は刃を上に向けて差しますので、刀身の「表・裏」も逆になります。なので、写真や図で見る時も太刀と打刀は背中合わせになります。
この時代に備前や美濃では「数打物(かずうちもの)」と呼ばれる大量生産品が作られるようになりました。
身分の高い武士が持つためのオーダーメイド品「注文打(ちゅうもんうち)」とは違い、打刀を歩兵に標準装備させるための既製品です。しょっちゅうあちこちで戦争をしていたため、そうしてたくさんの刀を作らなければいけないくらい、需要があったわけです。
数打物と注文打は、オートクチュールとプレタポルテのような位置付けですね。
このスタイルの特徴はこんな感じです。
- 刀身は短め(2尺前後)
- 刀身の幅はやや広めのものが多い
- 切っ先は中くらい
- カーブの中心は刀身の先に少し寄っている(先反り)
- 素早く抜くなど小回りを効かせるために茎も短め
ゲーム「刀剣乱舞」でこのスタイルの打刀のキャラクターは歌仙兼定です。
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