単眼鏡、使い方の基本
刀剣の展示を見に行くと、たまに見かける謎の筒状の物体。熱心に覗き込んでるけど、一体何を見ているのか。気になりますよね。
これまで当ブログでも「あると便利なアイテム・単眼鏡」や「日本刀鑑賞のための単眼鏡選び」という記事を書きまして、割と見ていただいているようです。持ってないけど気になる…という方が結構いらっしゃるんでしょうね。
今回はもう少し踏み込んで、単眼鏡ってどういう風に使うのか?ものすごく簡単ですが、基本の使い方をご紹介します。
気になるし欲しいかも…という方、コラボ単眼鏡を買ったけど使い方が全然分からない…という方。「なるほどそういう物なのか」と納得していただければと思います。
単眼鏡の形とピント操作
例はビクセン社の「VIXEN マルチモノキュラー 4×12(Amazon)」です。本体に付属するキャップを外した状態がこちら。
これが一番縮んだ状態になります。
画面下側の覗く方と溝状の滑り止めが付いている部分を指で持って回すと、本体が伸びます。
最大に伸ばした状態がこちら。
この縮んだり伸びたりで何を調節しているのかと言うと、「ピントが合う距離」を調節しています。縮んでいる時は近くで、伸びている時は遠くでピントが合うというわけです。基本の操作はこれだけ。簡単でしょ。
展示ケースとの距離
「日本刀鑑賞のための単眼鏡選び」でも書きましたが、単眼鏡には「最短合焦点距離(ビクセン社のスペック表記では至近距離)」というスペックがあります。これは「ピントが合う一番短い距離」のこと。単眼鏡が一番縮んでいる状態で覗くと、どのあたりでピントが合うかということです。
「VIXEN マルチモノキュラー 4×12」の場合、メーカーのサイトに記載された至近距離は「約20.0cm」です。つまり、20cmより遠いところのものを大きく拡大して見るのに適しているということです。
この商品に限らず、美術品鑑賞のための単眼鏡は20cm〜25cmに最短合焦点距離が設定されている物が一般的です。
たまにガラスケースにべったり張り付いて単眼鏡を覗いている方を見かけますが、見る対象物が20cmより手前にあると当然ピントが合いませんので、裸眼で見た方がよく見える状況になっているかもしれません。そうなったら本末転倒ですね。
単眼鏡を持って刀の展示を見る場合は、ガラスケースから一歩下がって鑑賞した方が良いように思います。
単眼鏡で見る場合にも確実にピントが合う距離ですし、単眼鏡なしで全体の姿を見たり、見る角度や高さを変えて刃文を見るのに良いです。一度決めた場所からほとんど動かないので運動量も少なくて済みますし。
単眼鏡で何を見るのか?
これに関してはメーカーサイトで「単眼鏡ではじめる 刀剣鑑賞のすゝめ」という記事が公開されていますので、そちらで見ていただくと良いでしょう。
ただ、当ブログの「刃文が見える絶景ポイントを探そう」でも書いたのですが、刃文については刀身の置かれた角度で見えたり見えなかったりします。
なので、まず単眼鏡なしで刃文が見える角度を探しておき、その位置から単眼鏡を使うと見やすいのではないでしょうか。
そして刀身を単眼鏡で見るなら、ぜひじっくり見ていただきたいのが、彫刻と銘です。
刀身彫刻は多くは梵字や剣、仏の姿、倶利伽羅龍などが彫られています。もちろん彫刻の見事さを鑑賞するのが王道ですが、古い刀身の場合、研いだせいでそれらの彫刻まですり減ってしまっているものもあります。彫刻がすり減るほど何度も研がれながら愛され続けてきたものの佇まいを感じてください。
銘は、刀工の名前はもちろん、注文主であったり、試し切りの結果であったり、様々な情報が彫られています。銘には江戸時代以降の新しい刀の方が色々なことが書いてあります。漢字で書かれているので、大体の意味はわかるでしょう。
取り扱い上の注意
- ストラップは付けておきましょう。筒状なので落とすと転がって行きますし、落とした時にレンズが割れる危険性があります。
- 慣れれば片手で操作できるようになりますが、落下防止のためにもなるべく両手で操作した方が良いでしょう。
- 首から下げていても、覆いのない展示品やケースにぶつけないよう手で押さえるなどしてぶらぶらしないように注意しましょう。
- 展示室でカバンやケースから単眼鏡を出していると、他の方の邪魔になったり、暗い中でキャップを紛失したりします。展示室に入る前のホールやロッカールームであらかじめ装備しておきましょう。
この単眼鏡、メガネをお使いの方は、ゴム部分を折り返すと見やすくなりますよ pic.twitter.com/4BqrYdHjPb— タカミヤ@刀剣好き (@nayuta5149) 2019年2月25日
記事公開後に、メガネの方向けのTipsをリプライでいただきました。
それでは、良い単眼鏡ライフを。
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