展示の鑑賞メモはえんぴつで

以前「鑑賞メモを取る」という記事で刀剣展示での鑑賞メモについて書いたのですが、この記事にはメモを取ることの意味だけを書いたので、今回はメモを取る時には鉛筆を使いましょうという注意喚起をしたいと思います。

美術館や博物館など、多くの施設では展示室で使用して良い筆記用具は鉛筆のみと定められています。(例:京都国立博物館 – ご来館くださる皆様へ、京都国立博物館からのお願い

なぜ、鉛筆のみなのか?

上で挙げた京都国立博物館のサイトでも「様々な御意見をいただいておりますが」と断り書きがあるように、シャープペンシルなら良いのでは?など疑問があると思います。

色々と理屈をこねる前に、この規則の目的は何か?を考えてみましょう。目的は展示物の汚損を防ぐため、です。
昔の万年筆ならいざ知らず、現在市販されているペンからインクが急に吹き出すようなことはまずありません。ですが、何らかの原因で持ち主の手から離れることはあり得ます。

全ての展示品がガラスケースの中にあればケースに当たって終わりでしょうが、仏像、壁画、陶磁器、青銅器など、サイズ的にケースに収まらないため台座の上に置かれてロープが張られているだけの物もあります。
そうした物が置かれた場所で誰かが転倒し、その人が持っていた筆記用具がすっ飛んだとしたら。そして、その先にケースに入ってない展示品があったら。

水性・油性に限らずペンの場合はインクがつく可能性がありますね。シャープペンシルなら芯が刺さったり本体の金属パーツが当たって傷がつくでしょう。
そして、三菱鉛筆やステッドラー、ファーバーカステルから発売されている芯ホルダーや「大人の鉛筆」など鉛筆の芯部分を使用するタイプの筆記用具が「鉛筆の芯なのにダメ」な理由も同様です。芯は鉛筆でも本体はプラスチックと金属ですから。

そういう想定のもと、最も展示品にダメージを与える可能性が低いのが鉛筆なのだと理解しています。

では、そうしたケース外の展示品がある部屋のみ鉛筆のみにしては?という理屈もあるかもしれませんが、上のような細かい話を係員の方がいちいちする手間と労力を考えれば、どのような展示品を置いているかに関わらず、全館鉛筆以外禁止とするのが現実的でしょう。

鉛筆セットを用意しましょう

学生の頃ならいざ知らず、今はペンしか使わないという方もいらっしゃるでしょう。私も普段は万年筆やボールペンばかりです。
そうした方は、鉛筆数本・消しゴム・鉛筆削りをまとめた展示鑑賞セットを作っておき、展示を見に行くときはセットを持参するようにすると良いです。

幸い鉛筆メーカー各社がマークシート試験用に「鉛筆3本・消しゴム・鉛筆削り」のセット商品(三菱鉛筆トンボ鉛筆)を発売しています。透明なビニール製のポーチに入っており、一つずつ買い集めなくてもそのまま展示鑑賞セットとして使えます。

筆記用具のルールを守って、自分だけの展示鑑賞メモを作ってください。

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