初めて刀剣鑑賞会に行く前に、これだけ覚えるマナー・後編
前編に引き続き、最低限押さえておきたい内容についてご紹介します。後編はいよいよ鑑賞本番です。
鑑賞マナーについて
鑑賞体験会は、必ず主催側から刀剣の鑑賞マナーの説明があります。基本的に係の方の指示に従っておけば問題ありません。ただ、初めての時には一回では覚えきれないと思いますので、大まかな流れをご説明しましょう。
鑑賞の流れ
- 刀に礼をする
- 刀を持ち上げる
- 目の前に立ててまっすぐ持つ(形を見る)
- 寝かせて手元で持つ(地鉄を見る)
- ライトの光を当てるように持つ(刃文を見る)
- 刀を元に戻す
- 刀に礼をする
全7ステップです。まずこの流れをふわっと覚えてください。
全体を通して、絶対にやってはいけないことは2つです。
1つめは「落とさない」こと。2つめは「傷をつけない」こと。
1.刀に礼をする、は刀への「こんにちは」のご挨拶です。初対面の刀の場合は「初めまして」ですね。
2.刀を持ち上げる時は、慎重にゆっくり動くようにしましょう。最低限守らなければならないのは「切っ先を床面に当てない」ことです。
①刀が枕を当てて置かれています。
②刀の茎を両手で持ちます。
③切っ先が当たらないよう持ち上げます。
④刀身をまっすぐになるまで持ち上げます。
3.目の前に立ててまっすぐ持つ、は刀の全体の形を見る動きです。両手でしっかり茎を持ちましょう。
しっかり持っている状態で、刀の形を観察してみましょう。例えば、虎徹など江戸時代中期の刀は以下の図のような形をしています。
4.寝かせて手元で持つ、は地鉄を見る動きです。刀の横に置かれた布を使います。
①刀を右手だけで持ちます。
②左手に布を持ちます。
③刀を棟側から倒します。
④布で刀を受けます。棟を布で受け止めたら、刀身を横に倒しましょう。左手は刀を落とさないように受けるだけで、ぎゅっと握らないように注意してください。
⑤右手を腰元に引き寄せ、左手は刀を受けたまま布が動かないようについて行きます。右足を少し引いて体を横向き気味にすると無理がありません。
⑥刀が手元に引き寄せられました。
⑥の状態になったら、蛍光灯の光を刀身に反射させて、表面の模様や色合いを観察します。
この動きは長い定規で練習するとイメージしやすいです。
ここでやってはいけないのは「布で刀をこする」ことです。布でこすると刀に傷がつきます。あくまで刀を受け止めるために添えるだけにしてください。
5.ライトの光を当てるように持つ、は刃文を見る動きです。
前の⑥の状態から、右手を肩の高さまで、左手を胸の高さまで持ち上げます。前方に置かれた黄色系のライトの光を刀身に反射させると刃文が浮かび上がります。
刀身の角度を変えて、光が当たるポイントを移動させてみましょう。
この動きで刃文を見るのには少しコツが要ります。初めての方には少し難しいかもしれません。もし刀を見るまでに時間の余裕があれば、あらかじめ係の方にどんな刃文が見えるのか聞いておくと見つけやすいと思います。
6.刀を元に戻す時は、2.で持ち上げた時と逆の動きで刀を戻します。持ち上げた時と同じように慎重に動きましょう。この時も切っ先を床面に当てないように注意してください。
7.刀に礼をする、は刀への「ありがとうございました」のご挨拶です。
以上で鑑賞の動きを一通り見ました。細かい決まりを言うとキリがありませんので、初めての方は上に挙げたことを守れば十分だと思います。
2回目、3回目と鑑賞の機会が増えれば気持ちの余裕も出てきますし、さらに見るべきポイントを覚えていただけると、もっと刀剣の鑑賞が楽しくなりますよ。
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