日本刀の時代区分の基本

以前、日本刀を楽しむのに最低限必要な日本史という記事を書きましたが、今回はそれを踏まえて日本刀ジャンル独自の時代区分をご紹介したいと思います。

「古刀」「新刀」「新々刀」という言葉はゲームで登場するものもありますので漠然と「古いんだろうなぁ」「新しいんだろうなぁ」ということは分かると思いますが、改めて日本史年表と照らし合わせていつ頃のことを言うのか、この機会に覚えていただければ。

こちらは日本刀を楽しむのに最低限必要な日本史の記事で作った年表に、日本刀の時代区分を合体させた図です。
基本は上古刀、古刀、新刀、新々刀、現代刀、の5つの時代です。そして、古刀の終わりから新刀の始めにかけて「新古境」と呼ばれる過渡期があります。
では、古い方から順に行きましょう。

上古刀

「日本刀が成立する前の刀」を意味する言葉です。日本刀は中国や朝鮮半島の国々から輸入された刀剣を真似て作ることから始まったため、大陸式をベースに日本独自のスタイルへ変化した結果、完成されました。
平安時代に入って西暦930年代頃にそうした変化が終わり、現在見られる日本刀の形ができあがったとされています。

古刀

平安時代から安土桃山時代の文禄年間(豊臣政権の時代)までの刀を指します。日本刀の生産が最も盛んだった時期を含んでいますので、国宝や重要文化財に指定される著名な名刀がたくさん作られています。
ゲームのキャラクターとして実装されている刀もこの時代の刀が多いです。

新古境

古刀と新刀の過渡期にあたる時期です。厳密にいつからいつまでという定義があるのではなく、作る人や地域によって古刀の特徴を持つ刀と新刀の特徴を持つ刀が混在していた時期です。
古刀の終わりの天正から新刀の始めにあたる慶長にかけて活躍した堀川国広はまさにこの時期の刀工と言えるでしょう。

新刀

文禄の次の慶長年間(豊臣政権から江戸幕府への移行期)から宝暦年間(江戸時代が後半に入った頃)までの刀を指します。戦争がなくなって行く時期に当たっているため、始めの頃には長曽祢虎徹をはじめ名工がたくさん登場しますが、後になるほど有名な人がいなくなります。
慶長新刀、寛文新刀など、年号をつけてスタイルの違いを呼び分けます。

新々刀

宝暦の次の明和年間から明治9年(1876年)の廃刀令までの刀を指します。昔の武士らしさを取り戻そうとした時代、幕末の動乱期を含みます。そのため実用性を重んじたスタイルが特徴です。
刀も古刀を理想とし、古刀期の作刀法を蘇らせようという研究が行われました。そのパイオニアとなったのが水心子正秀です。

現代刀

廃刀令から現在までの刀を指します。間に戦争の時期を挟んでいるため、旧日本軍による接収、敗戦後のGHQによる接収があります。他の時代に比べ、日本刀にとっては苦難の多かった時代と言えるかもしれません。
敗戦後は、日本刀の立ち位置が「武器でありつつ美術品でもある」というものになったため、実用を念頭に置いた現代刀独自のスタイルというものはなく、過去の名刀を研究したり、これまでの各時代の作風を継承した「作品」を作ることがメインの時代となりました。

以上が日本刀の時代区分です。

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