刀の見方 かたち編その1 はじめに
刀の見方について、長くなりますので何回かに分けてお送りして行こうかと思います。
見る時の姿勢ではなく、ここに注目して見るようにすると違いが分かるようになるよ、という意味での見方です。
展示でも手に持って見る鑑賞でも、刀の見るべきポイントというのは共通しておりまして。
以前書いた 展示の刀の何を見る? から、もう少し突っ込んだ内容となります。
奈良の明日香村で開催された「いろはに刀剣」に参加された方には、河内親方の刀の見方レクチャーの細かい話、とご理解いただければ。
#いろはに刀剣 みんなのツイートまとめ2016
ざっくりと親方の刀の見方レクチャーをまとめるとこうです。
- 形を見ると時代が分かる
- 地鉄を見ると国・流派が分かる
- 刃文を見ると刀工が分かる
- +α いかにも分かったような顔をする
何度かお話を聞いたことのある方には「あー、そうだそうだ」という内容かと。
そうだそうだ…なんですけど、落ちついて考えると「なんで形を見ると時代が分かるんだろう?」って思いませんか?
大体時間の都合で「あとは本に書いてあるから読め」と終わっちゃうし、疑問に思っても解消しないままの人もいるのではないでしょうか。
このシリーズを書かなきゃだなと思ったのは、いろはに刀剣やその他の初心者向けイベントでレクチャーを聞いても、説明がここ止まりなのが多いので、宙ぶらりんで放り出されちゃうなぁと思ったからです。身も蓋もないことを言うと、本買って読めば書いてあることばっかりなので知ってる人には目新しい話はありません。
先の刀の見方レクチャーですが、鑑定会でもこの考え方を基本にして、時代→国→刀工と推理を絞り込んで行きます。
展示を見に行ったとしても、ただ漫然と刀を見ているだけよりもいろんなことが分かりますので、刀のこともっと詳しく知りたいなーと思った方はちょっとずつ覚えて行っていただければと思います。
この話はゲームに登場する刀を例に出すと割とすんなりご理解いただけるような気がするので、遠慮なくゲームに登場する刀を例に出させていただきます。以前小ネタに書いた 「最近流行りの刀」の最近って? の話も、これらのポイントが押さえられているとすんなり理解できます。
かたち編はこの図が基本になります。
時代ごとの特徴的な刀の形をまとめた写真から描き起こしました。写真だと分かり難いんですよね。
右にあるほど古く、左に行くほど新しい刀になります。
途中から太刀から打刀に変わっていますね。長くなったり短くなったり、反ったり反らなかったり。
どうしてそうなるかというと「流行り」です。流行りというのはファッションの流行りではなくて、戦争のやり方の流行りです。
その時々でイケてる&勝ちやすい戦争のやり方があって、刀はそれに合わせて使いやすいように形が変わるわけです。戦いは勝たないと意味がありませんからねー。
武器の形や機能は基本的には戦争のやり方と連動しています。そのため、日本刀の変遷を見るには日本史の基本知識が必須となります。
歴史の授業が苦手で、日本史全然分かりません!という方は 日本刀を楽しむのに最低限必要な日本史 をご一読ください。
その2からは一個ずつ、かたちについて見て行きたいと思います。
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