刀の見方 かたち編その12 幕末の打刀

この記事は 刀の見方 かたち編 はじめに から続く記事です。
刀の見方 かたち編「江戸時代 貞享・元禄期の打刀」の次は「幕末の打刀」です。

日本の周囲に外国の船がやってきて開国を迫り、それに伴って幕末の動乱期が幕を開けます。
この時代の刀は実際に市街地などで戦闘するために作られていて、使うための形をしています。

同じ実用の刀でも、集団戦が主であった戦国時代の刀と違うのは「刀同士の少人数で殺し合う」ための形をしていることでしょうか。
突きやすいためにか切っ先が長く、それでいて馬に乗らずに戦うためか反りが少ないです。竹刀で剣術を習った人が使ったからかもしれません。
かさねが厚く刀身の身幅も広いため、持った感じ重く大きく、強面な印象があります。

この時代の刀は、江戸で水心子正秀という刀工が江戸時代より前の古刀の研究を行い、その頃の作り方に戻るべきだという思想を提唱し、それに賛同した刀工たちによって作られた「新々刀」という分類に当たります。
新々刀は新しい刀の時代を開きましたが、江戸幕府が倒され明治の世になると廃刀令が出され、帯刀することができなくなります。
武器としての刀の需要がなくなった明治の世に、刀は美術品としての役割がクローズアップされて残って行くことになります。

このスタイルの特徴はこんな感じです。

  • 切っ先が長く大きくなる。慶長新刀や南北朝の太刀と同じくらいあるものも。
  • 反りがあまりない。
  • かさねが厚くずっしりしています。
  • 刀身の幅も広くいかつい印象。

ゲーム「刀剣乱舞」でこのスタイルの打刀のキャラクターは和泉守兼定です。
ゲームの長曽祢虎徹を作った源清麿はこの時代を代表する刀工なので、彼の他の作はこのスタイルをしています。

これで「刀の見方 かたち編」はひとまず一休みです。脇差や短刀の形は、しばらくしてからまた順に書きたいと思います。

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